民団ニュース
2020-08-17 14:39
第75周年 光復節 文在寅大統領 慶祝辞 全文
尊敬する国民の皆様、 独立有功者、並びに御遺族の皆様、 海外同胞の皆様、 光復75周年を迎えた本日、全身全霊を捧げて国の独立を成し遂げられた 烈士の方々の尊い犠牲とその精神を、改めて噛みしめております。 本日の慶祝式典は、愛国の士の皆様をお迎えすることで幕を開けました。 林優風lは101歳となられ、他のお三方も百寿を目の前にしておられます。 いかなる礼をもってしても、大韓民国の目覚ましい発展と矜持を築かれた皆様お一人お一人の功にとうてい報いることはできません。 現在ご存命の愛国の士の方々は今や31名に過ぎません。 本日、この慶祝式のためにご足労いただいた愛国の士の林優普A金榮觀、 李英守、張炳夏様に深い敬意と感謝を込めて、大きな拍手を送りたく存 じます。
我々の光復は、国民一人一人が民主共和国の主として共に立ち上がり、 成し遂げたものであります。 自らの人生の主役として、大小様々な成果を挙げてこられた全ての方々 が今日を生きる我々を支える根幹となって下さっているのです。 烈士の皆様は ‘力を合わせれば、いかなる危機も乗り越えられる’という信念を ‘巨大な歴史の根幹’として我々に遺して下さいました。 故に我々はコロナ禍を克服する過程においても共に危機を乗り越え、 我々自身の力を改めて確認することができました。 現在、異常気象による巨大な自然災害がまたも我々の日常を脅かしています。
しかし我々は、必ずやそれに打ち克つことができると信じております。 尊い命を失われた皆様のご冥福をお祈りし、被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、国民の命と財産を守るため、最後まで災 害に立ち向かうと同時に復旧に最善を尽くしてまいります。また、今後ますます深刻化する異常気象に備え、痛ましい被害が繰り返 されないよう国民の安全を守るべく全力を注いでまいります。 大韓民国の誇りを育んで下さいました独立有功者、並びに御遺族の皆様 に敬意を表すとともに、今日の危機と災害を国民と力を合わせ、必ずや 乗り越えていくことをお約束致します。 国民の皆様、 本日の会場となっております東大門デザインプラザは朝鮮時代の訓練都 監と訓練院の跡地であります。
日帝強占期には京城運動場、解放後はソウル運動場となり、その後、長く東大門運動場という名で親しまれた、多くの人々の汗の歴史が染み込んでいる場所であります。 中でも、植民地朝鮮の青年、孫基禎が流した汗こそ最も熱く、痛ましい ものだったと言えましょう。 1935年の京城運動場、10000m競技で優勝を果たした孫基禎は、翌年に 開かれたベルリン五輪のマラソン競技において、世界新記録で優勝を飾 りました。 日本の国歌が流れだした瞬間、金メダリストの孫基禎は月桂樹の苗木で 胸の日章旗を隠し、銅メダリストの南昇龍は俯いて目を閉じました。 民族の誇りを高めた偉大な勝利でありましたが、その栄光を捧げる国が 存在しなかったのです。
我々の独立運動は、国を取り戻すと同時に、一人一人の個人の尊厳をも 高める過程でありました。 我々は独立と、主権在民の民主共和国を樹立する革命を同時に実現しました。 もう二度と誰にも引けを取らない堂々とした国を作ろうとする国民の努 力は光復後も留まるところを知りませんでした。 我々は援助を受ける最貧国から世界でもトップ10に迫る経済大国になる 一方で、独裁に立ち向かい、世界の民主主義の道標となりました。 国の名において個人の犠牲を要求し、人権が抑圧された時代もありまし た。しかし我々は、自由と平等、尊厳と安全が国民一人一人の当然の権 利となる、‘国らしい国’への歩みも緩めることはありませんでした。 我々国民は数々の危機を乗り越えてきました。 戦争の惨禍を乗り越え、アジア通貨危機や金融危機を克服し、日本の輸 出規制という危機も、国と国民が一丸となり乗り越えました。 むしろそれを、‘誰にも揺るがされない国’への飛躍の機会に変えてき ました。 大企業と中小企業が力を合わせて共生することにより、‘素材・部品・ 装備の独立’を果たし、一部の品目では海外投資誘致の成果まで挙げました。 コロナ禍の危機もやはり、国、個人、医療従事者や企業がお互いを信頼 し、支え合いながら克服してきました。 政府が防疫に必要な全情報を透明に開示する一方で、国民は政府の方針 を信頼し、自ら防疫の主体となりました。 企業は世界に先駆けて迅速かつ正確な診断試薬を開発し、労働者は自分 よりまず他人を思いやる精神で防疫用品を生産しました。 医療従事者とボランティア、国民と企業、それらの努力が結集されて コロナウイルスに打ち勝つ力となり、世界中から認められる模範を示し ました。 しかし、依然として更なる緊張感が求められています。
政府はワクチン確保や治療剤の早期開発をはじめ、ウイルスから国民の 安全を守り切るときまで、最後まで全力を尽くしてまいります。 国境や地域を封鎖せず、経済の停止なくして達成した防疫の成功は、 経済の善戦に繋がっています。 防疫の成功があったからこそ政府の拡張財政による迅速な景気対策が 効果を上げることができたのです。世界的な経済危機の中にもかかわらず、韓国経済の成長率は今年、OECD 37か国の中でトップを記録し、GDP規模においても世界のトップ10入りを果たすものとみられています。 多大な苦痛を強いられながらも、危機をチャンスに変えている国民の皆 様には、今一度、尊敬と感謝の意を表さざるを得ません。
今や我々は‘隣人’の安全がまさに‘自ら’の安全であることを認識した上でポスト・コロナ時代に備える準備をしています。 我々は‘韓国版ニューディール’を力強く推進し、デジタル・ニューディールとグリーン・ニューディールを両軸として、経済の体質を革新し、 その格を高めていく考えです。 キャッチアップ型経済からフロントランナー型経済へ、炭素依存型経済 から低炭素経済へ、大韓民国を根本的に変革することで、新たな飛躍を 遂げてまいります。 ‘韓国版ニューディール’の真髄を貫く精神はやはり人が中心となる ‘共生’であります。‘韓国版ニューディール’は‘共生’に向けた新しい社会契約であり、 ‘雇用・社会のセーフティネット’を一層強化し、‘人’への投資を増 やすことで、繁栄と共生を同時に実現していくという約束です。 何よりも重要なことは格差と不平等を減らすことです。 我々みなが共に幸せに暮らしてこそ、真の光復と言えるのです。 我々と未来の世代、全ての世代のための持続可能な発展の道程を国民の 皆様も共に歩んで下さることを信じてやみません。 国民の皆様、 2016年の冬、全国各地の広場と道路を埋め尽くしたのは‘大韓民国の全ての権力は国民から発する’という憲法第1条の精神でした。
世界を変える力は常に国民に在るという事実をろうそくを掲げ、改めて 歴史に刻み付けました。 まさにその精神が我が政府の基盤となっています。私は本日、第75周年の光復節にあたり、光復が国民一人一人にも訪れて いるのか顧みるとともに、国家のために個人が存在する国ではなく、個 人の人間らしい暮らしを保障するために存在する国について思いを馳せ ています。 それは全ての国民が人間としての尊厳と価値を有し、幸福を追求する権 利を有する、憲法第10条の時代です。 我が政府が実現に向けて努めている目標です。 政府はこれまで、自由と平等の実質的な基礎が堅固に築かれ、社会のセーフティネットと安全な日常生活の中で各自が個性と能力を存分に発揮 でき、個人の目標の成就を互いに尊重する国を築くために努力してまいりました。 我が政権で、すべて実現できる課題だとは決して思っておりません。
しかしながら我々の社会がその方向に向かっているとの信頼を国民に与 え、確かな土台を構築できるよう最善を尽くしてまいります。 我々は、大韓帝国時代に労働移民としてハワイやメキシコに渡り、そのまま戻ってこられずに祖国を失ってしまった同胞を記憶しております。 そのような胸の痛む歴史を決して忘れてはなりません。 祖国は同胞を守れませんでしたが、逆に彼らは労賃を集め、‘一匙ずつ の米’を集めて臨時政府に独立運動資金を支援し、海外での独立運動を 支えてくれました。 我々は 解放された祖国と家族の元についに戻れなかった同胞のことをいつまで も忘れてはなりません。 国が、国民に対して担うべき役割を果たしたのか、今は果たしているの か、我々は問い続けなければなりません。 これからの大韓民国は、ただの一人の国民も見捨てたりしません。 それだけ成長し、それだけの自信を持っているのです。2018年4月30日、ガーナ沖で拉致された韓国船員3人が救出作戦を行った 清海部隊の文武大王艦とともに祖国に戻りました。
2018年7月には、リビア武装勢力に拉致された我が国民が、2020年7月に は西アフリカのベナン沖で拉致された船員5人が、無事救出されました。 コロナ禍の中でも、軍用機をイラクに急派し、韓国人労働者293人を本 国に迎え入れました。 新型コロナの感染拡大が深刻な7か国に対しては特別輸送機と軍用機、 大統領専用機まで投入して在外韓国人2千人を国内に安全に移送、チャーター機で119か国、4万6千人に至る在外韓国人を無事に帰国させることができました。 3.1運動と臨時政府樹立100周年を迎えた昨年、海外の独立有功者5人の 御遺骨を祖国に奉還したことも意義深い取り組みでありました。 自らの尊厳を証明しようとする個人の努力に対しても国は必ず応え、解 決策について共に知恵を集めていかなければなりません。 2005年、4人の強制徴用被害者の方々が日本の徴用企業を相手取って裁 判所に損害賠償訴訟を提起し、2018年、大法院(最高裁判所)で勝訴確定 判決を受けました。
大法院は1965年韓日請求権協定の有効性を認めながらも個人の‘不法行 為賠償請求権’は消滅していないと判断しました。 大法院の判決は大韓民国の領土内において最高の法的権威と執行力を有 します。 政府は司法府の判決を尊重し、被害者が同意できる円満な解決策について日本政府と協議してきており、協議の門戸は今も大きく開かれていま す。 我が政府は、いつでも日本政府と向かい合う準備ができています。 訴訟参加者のうちお三方は既に亡くなられ、唯一ご存命の李春植さんは昨年日本の輸出規制が実施された際、「自分のせいで大韓民国が損をするのではないか」と言っておられました。
我々は、一個人の尊厳を守ることが決して国の損失に繋がることはない という事実を確認するでしょう。 同時に、三権分立に基づいた民主主義、 人類の普遍の価値と国際法の原則を守っていくために、 日本とともに努力していきます。 一個人の人権を尊重する日本と韓国、その共同の努力が 両国国民間の友好と未来協力の架け橋になると信じております。 国民の皆様、 東大門運動場は解放の歓喜と南北分断の傷痕が共に刻まれた場所です。 1945年12月19日、‘大韓民国臨時政府凱旋全国歓迎大会’が開かれ、そ の日、白凡・金九先生は「全民族が団結して自主・平等・幸福の新韓国 を建設しよう」と訴えられました。 しかし1949年7月5日、100万人の弔客が集まる中、再びこの場所で我が 国民は涙を流して先生に別れを告げなければなりませんでした。 分断による未完の光復を韓半島の統一で完成させようとした金九先生の 夢は残された人々の課題となりました。 真の光復とは、平和で安全な統一韓半島において一人一人の夢と暮らし が保障されることです。
我々が平和を追求し、南と北の協力を推進することも南と北の国民が安 全に、共に良い暮らしをしていくためであります。 我々は家畜伝染病やコロナウイルスに対応し、異常気象によるかつてないほどの集中豪雨に見舞われながら、個人の健康と安全が互いに緊密に 繋がっていることを自覚し、南と北が生命と安全の共同体であることを 改めて認識しています。 韓半島で生きる全ての人々の生命と安全の保障が我々が生きる時代の安 全保障であり、平和であります。 防疫協力や共有河川の共同管理により、南北の国民が平和の恩恵を実質 的に体感できることを願ってやみません。 保健医療や森林協力、農業技術、品種開発に関する共同研究を行うこと で、コロナ時代における新たな安全保障状況の中、さらに緊密に協力し、 平和共同体、経済共同体とともに 生命共同体の構築に向けた共生と平和の活路が見出されることを望んで おります。 国民の生命や安全のための人道主義的な協力とともに、世を去る前に会 いたい人に会い、行きたいところに行けるよう協力することが実質的な 南北協力です。 南北協力こそ南・北双方にとって核や軍事力への依存から脱却できる最 高の安全保障政策です。 南北間の協力が堅固になればなるほど、南と北の双方の安全保障がそれ だけ堅固になり、それはまさに国際社会との協力の中で繁栄に向かって 歩み出す力になるものと思われます。 ‘板門店宣言’で合意した通り、戦争の脅威を恒久的に解消し、烈士たちが夢見た真の光復の土台を築いてまいります。 南北が共同調査と着工式まで行った鉄道連結は未来の南北協力を大陸へ と拡張する中核事業です。 南北が既に合意した事項を一つ一つ点検、実践しながら、‘平和と共同 繁栄の韓半島’を目指して進んでまいります。 尊敬する国民の皆様、 独立有功者並びに御遺族の皆様、 海外同胞の皆様、 国のために捧げた犠牲は、国が必ず覚えていてくれるという信頼、 災難災害に直面した際、国が安全を保障してくれるという信頼、 異国の地で苦難を経験しても国が救ってくれるという信頼、 個々人の困難を国が案じてくれるという信頼、 失敗しても再起の機会が保障されるという信頼。こうした信頼を胸に、各個人は新しいことに挑戦し、困難に立ち向かっています。 そうした信頼に国が応えた時、国の光復を超えて、個人に光復が訪れる ことでしょう。 植民地時代の一人のマラソン選手の汗と恨(ハン)、解放の喜びと分断の 嘆息が共に宿る東大門デザインプラザ、歴史の刻まれた地の上に今や個 人の創造性と個性が華やかに咲き誇っています。 100年前に始まった民主共和国の道。そこからさらに歩を進め、個人の 自由と平等が満ち溢れる大韓民国に向かって国民とともに歩んでまいり ます。 烈士たちが夢見た自主独立の国を超え、平和と繁栄の統一韓半島に向かって国民とともに歩んでまいります。
ご清聴ありがとうございました。 (非公式翻訳)
▶▶ 第75周年光復節文在寅大統領慶祝辞全文(日本語)
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