総合ニュース
2012-12-13 16:02
北朝鮮“ミサイル”発射を強行
朝鮮中央テレビ
北朝鮮は12日午前、北西部・トンチャンリから「人工衛星の打ち上げ」として事実上の長距離弾道ミサイルを発射しました。
北朝鮮は当初、今月10日から22日までの間の発射を予告し、その後、「技術的な欠陥が見つかった」として、予告期間を29日まで1週間延長したため、当面の発射はないとの臆測が広がっていました。
こうしたなか、国際社会のいわば不意を突く格好で強行された今回の発射について解説します。
不意を突く 突然の発射
北朝鮮は12日、「キム・イルソン主席の生誕100年に当たる2012年に科学技術衛星を打ち上げることに成功し、キム・ジョンイル総書記の遺訓を貫徹させた」と述べ、事実上の長距離弾道ミサイルの発射を高らかに伝えました。
ことし4月の発射失敗を年内中に挽回し、今月17日に死去から1年を迎えるキム・ジョンイル総書記の遺訓を守ることができたという立場を強調したのです。
自制を求める国際社会の声を無視して強行された今回の発射。
北朝鮮が、発射の予告を発表したのは今月1日でした。
宇宙空間技術委員会が「今月10日から22日までの間に、地球観測衛星『クァンミョンソン3号』の2号機を積んだロケットを打ち上げる」と発表。
ことし4月に発射を失敗して以来、「欠陥を分析して信頼性と精密度を改善し、打ち上げの準備を終えた」としていました。
ところが、予告期間に入った今月10日、北朝鮮は「3段式のロケットのうち1段目のエンジン系統に技術的な欠陥が見つかった」として、発射の期間を今月29日まで1週間延長すると発表しました。
韓国政府の当局者は11日になって、北朝鮮が、事実上のミサイルを発射台から取り外す作業をしていることを把握したと明らかにし、本格的な修理をすることになったという見方を示しました。
さらに衛星写真などをもとに、北朝鮮のミサイル開発について分析を続けていたアメリカの研究機関も、発射は早くとも21日までずれ込むとの見通しを示していました。
このため、韓国や日本では、発射の準備が整うまでに、しばらくかかるのではないかとの臆測が広がっていました。
発射の兆候 把握できなかったのか
韓国の国防省は、12日午後の会見で「きのう午後から発射の動きを感知し、監視していた」として、一部に出ていた、「ミサイルを取り外して解体している」という見方は公式に発表したものではない、との立場を強調しました。
しかし、韓国国内では「発射が迫っている」という状況を正確に把握できていなかったのではないか、といった指摘が出ています。
韓国軍は、アメリカ軍と協力しながら、衛星写真などで発射場の状況について分析を続けていましたが、国防省も会見で、「いつ発射するか、事前に正確に把握するのは難しい」と認めています。
一方で、韓国や日本では、北朝鮮が発射時期をかく乱するため、トラブルがあったと見せかけたのではないか、といった見方や、確実に年内に発射するため単に慎重を期しただけではないか、といった見方まで、さまざまな憶測が出ていますが、実際のところは、よく分かっていません。
発射は成功したのか
北朝鮮は午前11時すぎ、国営のラジオを通じて「人口衛星を軌道に進入させることに成功した」と発表しています。
発射から1時間余りしかたっておらず、異例の早さです。
さらに発射から5時間後には、朝鮮中央通信が「発射した人工衛星は地球から最も近いところで高度499.7キロ、最も遠いところで584.18キロの軌道を回っていて、周期は95分29秒だ」と、具体的な数値を挙げたうえで、「われわれの科学技術重視政策の結実だ」と強調しました。
韓国やアメリカの軍当局などによりますと、発射されたミサイルは1段目が朝鮮半島西側の海上に、2段目はフィリピンの沖合にそれぞれ落下したことが確認されています。
1段目と2段目が北朝鮮が事前に予告していた通りに分離されたことになります。
また、北米大陸のミサイル防衛を担当するアメリカ軍の司令部は、「ミサイルから放たれた何らかの物体が軌道に達したとみられる」という見方を示しました。
ただ、韓国の国防省は安定して軌道を保てるかどうかを見極める必要があり、さらに時間をかけて分析する必要があるとしています。
今回の発射で、アメリカや日本をはじめ国際社会にとって、北朝鮮のミサイル開発がどの程度のレベルまで到達しているかは大きな懸念材料です。
韓国のキム・グァンジン国防相は、今回の発射を受けて開かれた国会の委員会で、「大陸間弾道ミサイルの技術開発のための発射であり、射程は1万キロ程度と見られる」と述べました。
1万キロは北朝鮮からアメリカの西海岸まで到達する距離で、そのとおりだとすれば、北朝鮮にとって、アメリカとの交渉における強力なカードを手に入れたことにもつながります。
舞台は国連安保理に
北朝鮮が発射を強行したことを受けて、アメリカやEU=ヨーロッパ連合など国際社会は、北朝鮮を非難する立場を示しました。
今後、注目されるのは、国連の安全保障理事会での対応です。
安保理はことし4月の発射の際にも北朝鮮を非難するとともに、「さらなる発射や核実験などを行った場合には、それに応じた行動をとる」とする議長声明を採択しています。
このため、アメリカは、日本や韓国と協力して新たな制裁など厳しい対応を目指す姿勢を示しています。
ただ、中国は今回の発射を非難しながらも、北朝鮮に対する新たな制裁には慎重な姿勢です。
中国外務省の報道官は、12日午後の会見で、「国連安保理は朝鮮半島の平和と安定を維持するという大局にたって、局面がさらに悪化しないよう、慎重に対応すべきだ」と強調しました。
また、ロシアも「関係各国に対しては、状況をさらに緊張させ、6か国協議の再開に向けて新たな障害となる措置を取らないよう、自制することを期待する」として、さらなる制裁には慎重な姿勢を示しています。
このため、国連安保理の場で、北朝鮮に対して、一致して厳しい対応が打ち出せるかどうかが注目されます。
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